*出典元:Wikipedia
1990年平成時代の幕開けとともに、誕生した最大出力6000kw
(仏馬力換算8158ps)というとてつもない大出力を誇る
日立製 EF200形直流電気機関車。
最新インバーター制御システムとコンパクトでありながら
1軸辺り1000kwという高出力の三相かご形誘導電動機
(モーター)を6台搭載した国内至上最強の電気機関車。
直流電気機関車に多相交流の技術の礎を築いた
ニコラテスラの技術をまとっています。
N700系新幹線のモーターが1軸辺り305kwなので実に3倍強の出力
しかも線路幅が狭い在来線で達成しなければならなかった
でこれを達成した事は、技術的に大変な偉業を成し遂げた事になります。
そして海外の機関車に比べ非力だった日本の電気機関車の
イメージを覆す最強伝説をつくったモンスターEL
技術やデザインを含め数々の意匠もあり
そんな最強の電気機関車EF200が
2019年3月28日、山陽本線下関幡生操作場から
大阪吹田貨物ターミナル駅の運用をもって引退しました。
今はひっそりと生まれ故郷の日立製作所水戸工場にデビューした
当時のカラーリングに化粧直しされ静体保存されています。
電気機関車としてはあまりにも短い運用期間で引退に
追い込まれたその理由を深堀していきます。
1990年はこんな時代!
- テレビでちびまる子ちゃんが放映される
- TBS記者の秋山豊寛さんがロシアで日本人初の宇宙飛行
- プロ野球はセ・リーグ優勝 読売ジャイアンツ
- 大相撲では、昭和最後の優勝力士千代の富士が前人未踏の通算1000勝を記録
- 国内4輪レースでは全日本F3000とツーリングカー選手権で 星野一義選手がタイトル
- 国内2輪レースでは500cc 伊藤真一選手250cc 岡田忠之選手がタイトル
1989-1990年は鉄道、自動車、バイク業界に最新技術が惜しみなく
投入された最強のマシンが世の中に登場しました。
先生!この時代は、世の中が皆熱かったんですね!産業界はバブル景気で新型ラッシュも続いたみたいで。自動車もスカイラインGT-RやオートバイもZZR1100などRがついた最強の文字が多く出始めたのもこのころかも。
*出典元:Wikipedia
1980代からぽつぽつと出始めたよね!だけどこれだけじゃないんだよ。速くて力持ちで最強だったっていうのは。この時代に誕生したステレオオーディオアンプにもいえるんだよ!1990年満を持してソニーが発売したプリメインアンプTA-F555ESLという機種だよ。小さな箱の中身は最新パワートランジスタが入り熱やノイズ対策で、技術者の創意と工夫が散りばめられた料理で言えば正月のお節料理と同義なんだ。まさに「技術の宝石箱なんだ」彦摩呂さんならそういってくれるはずだよ!アンプとは、スピーカーとセットで音を出す装置の事で、黒やシルバーやゴールドといった綺麗な金属化粧ケースに入った電気信号を増幅する装置なんだよ。
*出典元:SONYオーディオカタログより 下は同器内にある素子MOSFETパワートランジスタ
今日は1990年誕生の日本の電気機関車が引退するのが話の要で補足として当時最強の自動車、バイクのテーマを絡めて展開していくんじゃなかったんですか?オーディオをだすのならじゃあ海外の飛行機もいいですか!アメリカ空軍F-15制空戦闘機の後釜で現在も主力の第5世代ステルスジェットのラプターYF-22が初飛行した年でもありますよ。156kN×2個のPratt & Whitneys 製F119-PW-100型ターボファンエンジン を積んでるすごいやつですよ。日本だったらIHIや三菱、川崎じゃないとつくれないんじゃないですかね。
*出典元:WikipediaラプターYF-22と同機エンジンF119-PW-100
というか逆ですよ。IHIは民間航空機部門でラプターのエンジンメーカーであるPratt & Whitneyにタービンブレードの供給をしてたんだ。ところで今日のEF200の話だけど、今話がでたオーディオアンプはラプターや自動車、バイクの開発にも繋がる話なんだよ。結論はズバリ半導体デバイス。パワーエレクトロニクスという技術!GTOサイリスタやMOSFETやIGBTといったスイッチング素子というやつで、電圧や電流をトリガー電圧や電流をかけて自由自在にコントロールする技術だよ!ソニーのプリメインアンプTA-F555ESLにもMOSFETトランジスタが贅沢に奢られているんだよ。
*出典元:SONYオーディオカタログより
ふ~ん。なんか難しそう。僕はやっぱり千代の富士の91年の緊急記者会見で
「体力の限界、気力もなくなり、引退することになりました。」
「最後に貴花田と当たってね、若い、強い芽が出てきたな、と。そろそろ潮時だな、と。」
あの最強の人が現役引退を表明した時の言葉が今でも
印象に残っています。最強を背負って歩んできた故の苦悩が見えたような感じです
もしも今回ご紹介する電機機関車EF200が
しゃべれたとしたら人間に何を伝えたかったのだろうと。。。
1、EF200に興味がありそうなペルソナの予想
2、背景
3、国産初大出力インバーター直流電気機関車の誕生
4、インバーターについて
5、牙を抜かれたEF200デチューン化
6、高出力インバーターはノイズの嵐
7、日本の鉄道で使われる電圧
8、日本国内の商用周波数事情
9、鉄道の線路幅について
10、まとめ
EF200に興味がありそうなペルソナの予想
技術史、科学技術、電気、通信、無線、情報、機械 工学系が好きな方 動くものが好きな方、駅弁が好きな方、なんでもアンテナを立てている方、etc...
背景
時は1987年、国鉄の分割民営化が行われた当時の話になります。日本のバブル時代の経済成長拡大とともに、日本三大工業地帯が
隣接する東海道(山陽)本線に 輸送力増強と旧国鉄時代からの
旧型車入れ替えを目的として、直流電気機関車の開発が急務と
いうお達しがJR貨物輸送に下り開発が旧ピッチに行われました。
*8分19秒あたりがEF66(EF200の先輩)の先頭車両での試験走行が始まります。↓*南海太郎さん動画有難うございます!
*写真下はEF200デビュー前の最高出力車EF66 ユーチューブ上と別動画へリンク→ 瀬戸大橋 橋梁荷重試験に向う様子。
瀬戸大橋上で1両100tクラスの電気機関車を9重連で全快走行させ、橋の中央で急減速をする橋に負荷をかけたわみを測定する
1000t荷重試験、今年で人でいう51歳、延命処置も施され
東海道山陽本線で27号機(ニーナ)は現在も活躍中です。
*後ろに従えるのは先輩EF65(1965年誕生)EF64(誕生1964)で
こちらも化粧直しされ現在も活躍しているモデルが存在します。
(1988年本州四国連絡橋開通前の1000t荷重耐久試験に先頭車両として投入されるEF66 18号機)
*出典元:Wikipedia
国産初 大出力インバーター直流電気機関車の誕生
1990年 これまでにない最新技術を投入された最強の直流電気機関車が茨城県ひたちなか市にある 日立製作所水戸工場で誕生しました。 その電気機関車(EL)の名前は、EF200形 電気機関車です。当時至上最高出力にあたる総合6000kw 直流電気機関車に三相交流誘導電動機を搭載 (仏馬力換算)8158(PS)馬力(1PS=735,499wで換算)を発生しVVVF電圧型インバーター装置を初搭載したニコラテスラ技術をまとった電気機関車となりました。ニックネームはクジラ、マンモス、インバーターハイテックロコなどです。
*10tトラックの説明でICTとは、インタークーラーターボの略
になります。
*EF200の出力はこれまでの最高出力を誇っていたEF66の
約1.5倍相当の力を発揮します。
「基本スペック」
1、運転整備重量100.8t
2、最高速度120kmh
3、主電動機 FMT2形三相交流誘導電動機(1000kw)×6基
4、制御方式 GTOサイリスタ素子1C1M式VVVFインバーター制御
5、形式 EF200(Eは電気でFとは動輪軸が6軸の意味です)
*アルファベットAから順に1つづつ増える(例EH200,500,800は
8軸、SLのD51,ED76は4軸、)
6、架線電圧 直流1500V
7、定格引張力26,600kgf
台車部に関しては将来の160kmh以上の速度運用にも対応可能
としていました。
また、登坂能力として10‰(パーミル)1600t牽引
90km/h25‰1100tの引き出しが可能
*パーミルとは・・・鉄道線路での勾配を表すときに
用いられます。
水平距離1000m当たりの高低 を指すします。
25‰は1000mで25m高くなるという意味です。
これまでの機関車の最大は1300tでコンテナ車26編成だったものをEF200は1600t牽引でコンテナ車32両編成とこれまでの2割の
増大を見込んで造られました。
この機関車の27号機は半世紀以上現役で延命処置を施され
今も東海道山陽本線で運用されています。
*出典元:Wikipedia
1996年にEF200の置き換えとして開発されたEF210型直流電気機関車は最高出力3390kw仏馬力換算4609PSと相当マイルドに仕上げ
られています。
省電力機として開発が進められ所属が岡山機関区ということで、
ニックネームはECO-POWER桃太郎で親しまれています。
*出典元:Wikipedia
出力だけでなく顔つきも優しくなったEF210桃太郎
インバーターについて
インバーターは、主に電源回路など装置の事を指し、直流から交流へ、周波数の異なる交流を発生させることができる
逆変換装置です。
インバーターの説明の前に、直流と交流について簡単に
触れたいと思います。
*直流とは・・・私達の身の回りにある直流として思い浮かぶ
のが、乾電池、車のバッテリーですね。
2番、3番目の波形は交流から直流へ変える為に、整流ダイオードという半導体を繋げた時に出来る
半波整流、全波整流になります。2番、3番目は山形ですが、
プラス方向のみの波形ですので、これでも直流です。
この波を出来る限り平らに近づける為に、整流ダイオードの後に
コンデンサーを繋く回路をつくります。
*交流とは・・・私達の身の回りで思い浮かぶのが家庭内にある
コンセントから取り出せる商用100Vの50Hz/60Hz交流パルス電源
です。
一番上のサインウェーブといわれる波形が商用電源と同じ波です。
2番、3番、4番目も見慣れないですが方形波、三角波、ノコギリ波といった交流波形になります。
直流の波と交流の波の大きな違いは、直流は+方向のみ-方向のみのどちらかにのみ偏った成分で交流は、+と-を繰り返す
波の成分を持っています。
*インバーター回路の出力側からは、このようなパルス幅変調という制御方式で、電圧と周波数を時間軸の幅で表現して、アナログ波である正弦波に近い擬似波を造り出しています。
私達の身の回りにもエアコンや照明、そして洗濯機などの
回転物に使われており省エネの効果もあります。
照明、エアコン、洗濯機、扇風機にはPAMやPWM制御方式が
多く使われています。
*EF200形のVVVFもPWM制御方式を採用しています。
・「PWM制御とPAM制御」の違いについて 日本冷凍空調協会のサイトへリンクします
*ポンプをインバーターで使う場合は使用条件によって必ずしも
省エネになるとは限らないです
インバーターは周波数と電圧を変更しながらモーターの回転を
無段階に細かくなめらかに速度を変えられる事が特徴で、
工場などの設備ではインバーターを使わない方法として
小型のファンなどは、
結線がシンプルな直入れ始動方式が使われています。
またモーターが大きくなるにつれ起動後の突入電流も大きくなる
ためスターデルター始動方式が使われています。
*TOQBOX9000さん
素晴らしい手の込んだ動画を有難うございます!
*日立GTOインバーター音E2,3,4新幹線4分39秒EF200の音に近いです。13分23秒辺りから京急ドレミ電車の音も聞くことができます。日本のどこかで聞いた事がある音が混じっているかもわかりませんね。*個人的には後発ででたIGBTの音が高音すぎて、お化けが出てきそでおっかない感じです!
*突入電流とは・・・電気機器に電源を投入したときに、一時的に流れる大電流のことを指します。モーター起動直後モーター巻線に電流が流れることで平常時の電流にたいして、7倍から10倍程度の電流上昇が働くことで始動電流やインラッシュカレント ともいわれます。
*直入れ始動方式(全電圧始動)・・・この始動方式は7.5kW以下の小容量電動機を中心に用いられています、これは端子に直接電源を加えて始動する方法もっとも簡単な始動方法です。
*スターデルタ始動方式・・・この始動方式は11kW以上の大容量電動機に主に用いられており、一次巻線を星形スター接続にして起動し、ほぼ定格速度に達した後に三角デルタ接続に切り替える方法で、
始動電流を直入始動の1/3に落とすことができる。マグネットリレー(電磁開閉器、接触器)の数が2つ、3つ、4つと用途により結線方法が異なります。
*上記以外ではリアクトル始動方式、コンドルファー始動方式、一次抵抗始動方式があり、ともに大きな需要家で使われている方式になります。
牙を抜かれたEF200のデチューン化
JR貨物の威信をかけた最高出力6000kwのモンスターは、
フルノッチ(車で言うアクセル全開)で走行させると、
架線の電圧降下が著しい。
電圧降下が大きいと、同じエリアで運行している機電車も
その影響をうけて、思う様な力行運転(車でいうアクセルを開けて駆動をかける)が出来なくなる。
場合によってはガクッと減速してしまう。
特に電力消費が大きいといわれていたEF200のVVVFインバーターは加速時にその速度に応じた電流が追従して流れるような仕様になっていたとも言われていました。
真の原因は、地上設備である変電所の容量が、この機関車の大出力に対応しきれなかった事が のちに判明するのですが、
家庭内の電器で例えると、
一つ15Aのブレーカーに冷蔵庫と電子レンジが
二次側負荷としてあった場合、電子レンジでオーブン加熱など
してしまいブレーカーの容量を超える
電流がしばらく流れてしまうことでブレーカー内(熱動式の場合)のバイメタルが過電流により加熱され湾曲、
ブレーカーがトリップするのと理屈は同じです。
この直流き電方式1500Vは概ね、並列き電と呼ばれる回路構成をとっていて電車や電気機関車の走行に必要な電力の供給は約5kmから10km間隔に設置された2箇所の変電所間から供給されるしくみになっています。
また車両に供給する電気を送るのに車両にある集電装置であるパンタグラフに直接触れるトロリー線だけでは、線が細く、変電所から離れた中間地点に近づくほど電圧降下も大きくなるので、
トロリー線とは別にき電線という太い線を電柱やビームよりに並行で送って電気を供給していますが、家庭や工場などの場合と比較すると、
*右側線路の上空に一際太い直流1500Vき電線がトロリー線などと一定間隔で距離をあけながら並行してはられている。き電線から見て更に上空には三相交流RST相6600V線と一番上空には避雷用の架空地線が通る
*右側の太いき電線から、スチールパイプ製可動ブラケットに沿うように、き電分岐線がちょう架線を伝いトロリー線に+の電気を流す。架線はシンプルカテナリーでトロリーはG110前後と思われる
電源取り出し口のコンセントと負荷である冷蔵庫の場合
互いに使用時に距離は固定されているのが当然なのですが、
鉄道は二次側の負荷である機電車が動きながら電気を消費しているのが家庭や工場と違い安定した電力供給をより難しくしています。
供給電圧が高ければ電圧降下にも余裕が生まれるため特性上
高電圧になるほど線を細く出来る
*水を電気の流れで例えるとイメージし易いです。
水圧を高くすると勢いよく水がでる
直流の場合、容易に電気を遮断できない
(切る事が難しい電流零点がない)
*直流の場合は、電圧が常にかかっている特性上交流のようにプラス→ゼロ→マイナスという周期を繰り返しておらずゼロの
瞬間がないため、電流が大きく流れている中で強制的に遮断しないといけないので遮断失敗のリスクが大きいです。
もうひつ負荷であるモーターの絶縁耐性の問題もあり、
直ぐに遮断する(切る)ことができない直流電圧を
引き上げるのは危険であったりといった理由があります。
EF200は、JR貨物初のインバーター搭載三相交流誘導電動機を
駆動させるマシンとなりましたが、大出力ゆえに
完全個別制御方式の利点である空転再粘着性、高粘着制御が
インバーター制御の本来のうりである
無段階なめらか制御が存分に発揮できなかったかもしれません。
*高粘着とは・・・摩擦するといった意味で使われます。
空転の対義語
粘着式鉄道方式・・・駆動力が車輪にかかって車輪とレール間の静摩擦に頼って走行する鉄道を指す言葉である。粘着という言葉は摩擦という言葉で使われ、レールに車輪がくっつくという意味ではない。*出典元:Wikipediaより
*機関車は機関車単体でしか駆動輪を持っていないので
(動力集中方式*車でいうFF車のイメージ)
電車(動力分散方式*車でいう4WD車のイメージ)
と比較した場合、静から動へ、動から静への移動は
どちらも運転が難しいです。
連結した貨車の積荷の状態、編成の数、重い時軽い時の重心の問題
など、また連結した貨車の種類などでも影響するので、
*今回はブレーキの説明は割愛させて頂きます。
*個別制御方式・・・人で例えると、マンツーマン教育で、
1つのインバーターで1つのモーターを制御
*FF車・・・4輪あるタイヤの中で、エンジンのある前輪の
2つのタイヤのみが駆動輪となるもの
*4WD車・・・4輪あるタイヤの中で、4輪共が駆動輪となるもの
・1つ目はEF210桃太郎の空転音(ホイルスピン)35秒前後から
インバーターのうねり音がでます。
機車の車速に対して急激にインバーター音が高音になっている
のがわかります。重くてしんどそうです。
・2つ目は東急電車の車輪空転が確認出来ます。35秒前後と1分3秒辺りでチェックしてください!
*OBB1016さんEF210の貴重な空転音動画有難うございます!
*いちに-さん、至近距離からの判り易い空転動画有難うございます!
EF200の問題により旅客鉄道と貨物が協議を交わされた中で、
重要な区間のみでも変電所の増強やインバーター制御のプログラム変更など改善させてもらえる猶予期間や国からのバックアップが、
もしもあったなら日立製作所も機関車開発製造を打ち切ることなく昭和国産初の電気機関車製造メーカーの機関車製造部門撤退もなかったかもしれないと思うのは、私だけかもしれませんが、
(出典:ED15形 日立製作所HPより)
21台製造されたEF200のなかで、最初に登場した試作車901番は
生き残っていますが残りの残念な姿は見るに耐えられません。
(部品取りなどで、順次ガス溶断解体が行われてきた)
地上設備である変電設備を全てパワーアップすることは
難しいので、フルノッチ全快禁止の発令は企業としては
間違っていないのですが、色々な制約の中で、この時代に
誕生した素晴らしいマシンでした。
高出力インバーターはノイズの嵐
1990年頃から、鉄道沿線の近隣にある工場への高調波ノイズ問題が徐々に業界で取りざたされるようになりました。電気機関車に限らず、旅客用電機車にも新幹線鉄道にも、
それらに対応する変電設備にも、また工場内にある電動機制御用
インバーターにも産業用ロボット自体の制御装置である
サーボアンプからもありとあらゆる回転物には
インバーターやコンバーターなどで制御がされています。
我々の身近に存在する電子機器は、我々の体と触れた際、電位差
により発生する静電気や、電子機器自体から発生するノイズ、
機器意外からくる外来ノイズなど、機器に繋がっている
ラインから入ってくるもの、また空中線を伝わり無線波として
配線や機器躯体に入り込んでくる場合もあります。
個人の家庭でもオーディオや無線が好きな方はそれらの
ノイズには特に敏感ではないでしょうか?
半導体であるスイッチング素子でつくられた電源は
ノイズを発生します。
オーディオが好きな方は、家庭内のコンセントから入る電気も
実は汚れていることも認識されていると思います。
超高速でスイッチのONOFFを繰り返す為、その前後に
繋がれている受動素子で、ある程度はフィルター回路として
ノイズを低減する事はできるのですが完全ではないです。
*コンバーター・・・交流から直流に変換すること
・受動素子・・・コイルL、コンデンサC、抵抗Rは、電気に出てくる名脇役で、交流と直流では活躍する用途は変わりますが、そのもの自体では機能しない電子部品 ですが、これらがないと能動素子は機能しないです。
*写真 左からディスクリート版になりますが、抵抗、コンデンサ(キャパシタ)、コイル(写真はミニリレーとフィライトコアで、ノイズ対策のおまじないで使うコアにミニリレーの細い
コイルを巻き代えCTカレントトランスにする時のものです。)
・ 理想と現実のコイル・コンデンサ・抵抗と現実のコイル・コンデンサ・抵抗について
・ ・電気電子分野にでてくるタンスの種類
・能動素子・・・電子部品の主役ですが、受動素子がいないと引き立ちません。活躍できません。
ダイオード、トランジスタ 機械的な接点を持たないスイッチ、電圧や電流を制限する用途など
沢山の種類が存在します。
*写真左上からディスクリート版整流ダイオード、ツエナダイオード、発光ダイオード、中央左トランジスタ、中央右上アナログオペアンプIC、ディジタルIC×2、中央下AVRマイコン単品、右上マイコンボードラズベリーパイ(OSが入る小型パソコン)右下マイコンボードアルドゥイーノ互換機
*ディスクリート・・・大量生産が行われるため、既に仕様が*上記写真よりも更に小型に対応したSMD(サーフェースマウントデバイス表面実装部品も存在します上記の能動素子紹介写真右のマイコンボード上に小さく写っている部品で*キャラメル色の四角いやつは積層セラミックコンデンサ(キャパシタ)中央正方形のげじげじCPUの中には肉眼では確認できない受動素子能動素子が散りばめられています。
決められており、同じ仕様の製品が多くのメーカーによって
製造されている。具体的には、 コンデンサ、 トランジスタ、
ダイオードなどが、ディスクリート半導体です。
:最小線幅14nm(nナノは10億分の1)の線で各素子が結ばれているらしい。最近までムーアーの法則でどんどん小さく細くなっていったみたいです。(集積回路にもよりますがおおよそ1000万個ほどは小さな黒い箱の中にあるようです。*2008年の先端プロセス・ルールである45nmはウイルス以下の大きさ)
・回路理論について
・回路製作や回路図を見る際、必要になる考え方
EMS障害です。
誤動作によるもの*侵入した電荷・電波の影響で電気回路が一時的に
機能停止する。例)シャーシに触れると静電気で外部接続USB
ハードディスクが一時的にアクセス不能になる。例)電子レンジに近寄るとBluetooth機器が通信不能
になる。例)掃除機を動作させると周辺機器が再起動する。*侵入した電荷・電波の影響で電気回路が誤動作する。例)メモリや時計のデータが化けたりクリアされる。
破壊によるもの*ノイズが侵入し破壊される。例)静電気によるショート破壊。例)落雷の影響で電源ユニットが壊れる。*ノイズを増幅した回路が破壊される。例)音響アンプやスピーカーの破壊。
加われば必ず不具合が起こる危険があります。
見極めることが、EMS対策なんです。
ノイズに詳しいサイト EMC EMI EMSについて リンクです↓
*直流電化区の電食の問題
ノイズ意外にも、直流電化区の問題として、直流電流による沿線
附近の金属部分の腐食(電食)があります。*交流電化区では電食は発生しません。それは電食は電気化学反応なので、
プラスとマイナスが交互に繰り返す交流では、化学反応が起る時間が足りないないからだと言われています。
但しJR電気鉄道の交流は高圧なので、漏れ電流は大きいです。
*電食とは・・・地下埋設金属が電気化学作用により、腐食する
現象で、電位による腐食のこと 異種金属を接合すると、電位差が
大きいほど、電食の割合が大きくなる。
直流電源は常にプラス方向とマイナス方向が一定であり、マイナス方向側の電路に接続された金属は 電食作用にさらされます。
電源においては、プラス側では、防食作用がありマイナス側では
腐食し易いといった特性があります。
電気鉄道では、大地とレールは完全に絶縁できないため、
大地を通じて附近に迷走電流流れてしまう。
線路に近い埋設された金属製の水道管や電工管などは
この迷走電流の影響を受けてしまう。
*私達の身の回りの電気配線を含む電気機器周辺も僅かですが、漏れ電流は存在します。
JR鉄道で使われる電圧
日本国内にあるJR旅客会社の電化方式*新幹線鉄道 交流25kv 25000V
*一般在来線 交流20kv 20000V 50Hz 北海道、東北、北陸、九州
*一般在来線 交流20kv 20000V 60Hz 北陸の一部、九州
*一般在来線 直流1500V
*2010年頃の情報ですが、
JR国内路線における非電化、直流方式、交流方式の比率は
非電化45%
電化直流方式36%
電化交流方式19%
となっています。
「直流方式と交流方式のメリットデメリットについて」
*直流方式のメリット
・機関車、電車の製造コストが低いです。
・絶縁距離が小さい
・人が沢山利用する都会地域で有利
*直流式のデメリット
・変電所の数が沢山いる(5km~10km間隔)
・電圧が低いので電圧降下起こり易い
(変電設備も増強が必要になる)
*交流式のメリット
・容易に変圧できる。大電流をとりだせる。
(よって新幹線鉄道など)
・変電所を少なくできる(40km~50km間隔)
・電圧が高いので電圧降下に余裕がある。
*交流式のデメリット
・機関車、電車の製造コストが高いです。
(電車が動く変電所のような感じです)
日本国内の商用周波数事情
皆さんがご存知の通り東日本と西日本とでは50Hz地区と60Hz地区と、 富士川(静岡県)と糸魚川(新潟県)を境に東側が1秒間50サイクル西側が1秒間60サイクル と分かれています。
(ニコラ・テスラ記事は、直ぐ下の*豆知識にあります!)
これは、管轄する電力会社の発電所の発電機がどこから仕入れたかによる違いで東日本は東京電力(当時は東京電燈)の前身会社が
ドイツから50Hzの発電機「AEG製 (AC 3kV 265kVA」を購入した
ために そのまま定着しています。
西日本は、関西電力(当時は大阪電燈)がアメリカから60Hzの発電機「GE製 AC 2.3kV 150kW」を購入したことが そのまま定着
しています。
歴史的背景としては、
その当時アメリカで起こった電流戦争
(直流送電ジェネラルエレクトリックのトーマスエジソンVS
交流送電ウェスティングハウスのニコラテスラ)
に触発されて起こりました。
*豆知識
交流モーターの父 ニコラ・テスラ
テスラは交流モーターの父として知られています。
磁束密度の単位でしっかりとその名前はこの世に刻まれています。
テスラは、交流機器の基礎となる回転磁場を考案し、
発電機や変圧器、モーターなど
多くの機器は、この礎の上にあります。
回転磁界を生み出す為、オーストリアの工科大学に在学中
二相誘導の交流モーターを完成させ、このモーターを三相以上に
発展させて発電機などの関連技術と合わせたのが、
多相交流システムです。
1887年にテスラはこの多相交流システムの基本特許を出して
いましたが、ウェスティングハウスはテスラから特許の権利を
買い取りしナイアガラの水力発電所で交流送電システムと
エジソンの直流送電システムと対決させました。
これが私達の住む日本にも影響を与えた「電流戦争」です。
西日本は60サイクル GE製
東日本は50サイクル AEG製
テスラによる交流モーターの特許はウェスティングハウス社に
売却されましたが今日の3相60サイクルの新しい交流システム
の開発に繋がっています。
テスラは、その後の改良など、細かな事には興味がなかった
と言われており1890年にウェスティングハウス社の
ミチェル・ドブロウスキーが三相かご形誘導電動機と
変圧器の発明となっているのですが、
初期のウェスティングハウス社の電動機は後に
ベンジャミン・ガーバー・ラムによって
開発された回転軸に巻線を備えた二相式電動機だった事が判明。
今日の等価回路を導き出した
三相かご形誘導電動機はゼネラルエレクトリックの
チャールズ・プロテウス・スタインメッツが発明しています。
テスラの展望は、低周波のみならず高周波領域までつづき
現代のWiFiやリモコンの原理に繋がった発明をされています。
無線領域では、ヘルツやマルコーニの名前が有名ですが、
実はニコラ・テスラとオリバー・ロッジが7年以上前に
マルコーニの無線通信の実験や同調回路を完成させており、
イタリアなど各国の特許裁判などで発明の見解に違いがあります。
また、大西洋横断無線通信で争そったニコラ・テスラは、
マルコーニが成功したことを聞いて、マルコーニは私の特許を
17個使っていると述べたと言われています。
ところで、電気と言えば、事業用電気工作物の工事、維持及び
運用に関する保安の監督として現在の電気系国家試験として、
電気主任技術者試験制度が存在しますが
しました。
検定試験だったようです。
1911年(明治44年)電気事業主任技術者資格検定規則が制定され、明治44年10月1日の旧電気事業法の施行により、初めて資格検定による
電気事業主任技術者の制度が始まった。
JR鉄道の線路の軌間(きかん)幅について
軌間(きかん)は、鉄道の線路を構成する左右の軌条(レール)の間隔である。ゲージ(英語: Gauge)ともいう。軌条には幅があるため、軌条頭部の内側の最短距離と規定される*新幹線鉄道 1435mm(世界標準軌)
・メリット:高速走行が安定 乗り心地良、曲線通過速度高
・デメリット:建設費高、維持費高 土地面積の問題
*JR在来線 1067mm
・メリットデメリットは、世界標準軌の逆
・鉄道が敷かれた明治の始頃、1067mm軌間(狭軌)と1435mmの
標準軌へ軌間を変更しようとした運動についての大論争について
です。
大隈重信さんが大いに関わっています。→日本の改軌論争
*大隈重信以降の時代でも軌間幅についての論争は起きており、
お金の使い道として、 軌間拡大派VS路線延伸派で議論が
交わされていました。
まとめ
環境問題が叫ばれる今日ではモーダルシフトは、環境に優しくコストも抑えられる鉄道輸送は大変有利な輸送手段になります。
当時の最新技術をふんだんに投入され登場したEF200ですが
有り余るパワーの問題と関連会社である旅客会社と共同で
使用される線路や電気関連などの地上設備にそれらの保守などに
かかる費用を、旅客会社へ線路使用料として支払っている
立ち位置もあることや 時代の変化による景気の急激な
落ち込みなどの問題が重なり影を失い、その有り余るパワーは
重荷になってしまいました。
それからはフルノッチを禁止し出力を抑えながらの走行で運用されていましたが、製造されていた日立製作所水戸工場では
電気機関車部門の製造撤退もあり2000年代では、EF200の
保守パーツ取りのため、順次部品取りの為に廃車の号機が
増えていきました。
現在は、はじめの写真にある生まれ故郷にて、綺麗に化粧直しされデビュー当時のインバーターハイテックロゴの塗装を施されて
静かに、工場車内に静体保存展示されています。
機関車としては30年は早すぎる引退と言うのも最初に説明させて
もらいましたが、国内の私鉄が保有する電気機関車では製造から
80年以上と言う長寿の機関車も存在します。
またこのEF200の開発に関係する技術だけでも、産業革命時代から情報時代にかけて活躍した歴史上に登場する技術者の恩恵が
ちりばめられていました。
相対性理論と量子理論を研究したマックスプランクに影響を受け、光電効果を解明したアルベルトアインシュタイン、三相誘導電動機、多相交流の発明、他ニコラテスラ、トランジスタ発明 ウイリアムショックレー、IC発明 R・Nプレナー、ジャックギルビー、OS開発 ビルゲイツ、スティーブジョブス、C言語開発 デニスリッチーなどの技術者、科学者の名前です。
私達の暮らしの中にも、深く関係していました。
便利に豊かになっていく世の中ですが、時代だけを追い求める
だけでなく私も一番大切な感謝の気持ちを忘れずに、
これからも生きていきたいと思います。
拙い文章を最後まで読んで頂きまして、有難うございました。
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