資格への思い 青春編

一人の平凡な技能士が
一期一会の出会いから
素晴らしい技術士さんと
巡り合い人生観がかわったこと*

2013技術士試験会場案内看板
技術士一次試験が終ると
またいつもとかわらない現実の
ルーチンが始まっていた。

試験からしばらくたったある日
見慣れない大きな封書が
ポストに入っていた。

技術士第一次試験合格者祝賀会の
開催とお誘いの内容であった。

嬉しい思いと同時に、
自分の様な現場で働く技能士が

このような祝賀会に参加する事は、
場違いではないか?
という思いが心のどこかにあった。

開催ぎりぎりまで、
いくかいかないか
葛藤にかられる日々が続いた。

しかし、開催日当日、なぜか
体は自然と駅へと進んでいた。
オフィス街のビル群
祝賀会では、
軽い軽食が用意された会場に

各部門合格者と、
各部門の技術士さんと
触れ合う場が設けられ

2時間程の時間で、
名刺交換を50名以上と交わす様
女性と男性が名刺交換
当時の技術士会副会長に促され、
和やかなムードで
時間が進んでいった。
沢山のビジネスマンが出会い挨拶する場面
時間にも限りがあり、
全部門の人とは当然触れ合う事は
できなかったが、

色々な人と仕事の話や
各部門の話が聞けた。

その中で、
当時の技術士会○○本部
化学部門部長の方と

私の仕事の話を
親身になって聞いて頂けたこと

多忙な毎日の仕事の中で
色々な側面から物事を見ていること
進めている点を察して頂けたこと

現場での実績を積みあげ、
二次試験では

環境部門から受験することを
奨めて頂いたこと

もはや単一の技術分野では
何もできない
今の世の中で、

技術は机上で
考えるだけでは
何も進まないこと

「現場を知らない者には
技術者は勤まりません。

またその技術を応用できる経験と
実績のある技術者が育つことで、

技術を正しく社会に
役立つようにできるものです。

今後とも、技術士仲間として、
いろいろと教えてください。」



初対面の私の様な
しがない一兵卒に対して

親身に話を最後まで聞いて頂き
アドバイスまでして頂けたこと

その物腰の柔らかな人格者に
私は心底、心を打たれてしまった。

私自身がしらないうちに、高学歴
ハイスペックな人に対して

偏見をもった人になっていた
のかも
知れないと、
これまでの自分を恥ずかしく感じた。

祝賀会が終わり、その帰り道
街路樹が続く都会の街並みの中
夕暮れの街路樹のあるオフィス街
走馬灯の様に、これまでの人生が
目の前に映し出された。

昭和最後のヨイトマケノ歌
中学時代からアルバイトを
始めた当時の
自分を思い出していた。

私の家は、
裕福な家庭ではなかったが

家族はみな仲が良く、
強い絆で結ばれていた。

犬や猫など動物も好きな家族だった。

恥ずかしい話ですが、
自分の小中高時代と
父親の仕事がうまくいかず、

いつも金銭的に工面して
苦労している
母親の姿を
間近でみてきた。

母は体が弱く病気がちだったので、
パートと家事の両立はむずかしく

微々たるものだったが、
中学高校と新聞配達や他の
アルバイトで家庭を助けた。

青春時代はお金の事で、
少し苦労した部分があった。

就学旅行もお金が掛かるので
あきらめていた。

仮病を使い体調不良だと、
お金が返ってくると
思ったりもしたが、

当日キャンセルだとお金は返ってこず
浅はかな考えも失敗に終わると

母親が、修学旅行にいく直前、
僕の手の中になけなしのお金を
握らせてくれた思い出

多感な高校時代
気になる女子の前で、
当時の担任から

月謝の督促を促す心無く、
デリカシーの無い
恥ずかしい思い出

(大学進学をあきらめ最短でお金を稼ぐ進路へ)

我が子の為に自分の事を後回しにし、
これまで育ててくれた父母に
これ以上お金の苦労をさせたくない!

あのときの自分は、
自然に働くことを決意していた。

卒業式の次の日、徒手空拳で
とある工場へ季節工として働きだした。

高卒で働くよりも
年収で倍近く給料が違うからだ。

卒業式から3日後には、
工場での夜勤作業に入った。

新卒の高校生よりも早く
現場入りしたことは

社会人への自覚、現実の厳しさを最短で
自分自身に身をもって体験できた。

慣れない作業に必死になり
慣れようと連続する日々が続いた。

成人式の日も、皆勤賞を目指す為
夜勤で仕事をした苦い思い出

赴任先の現場で、
自分の父親と同世代の大先輩に
諭された思い出

どうしてこんな仕事に就いたんだ!
人は夜眠り朝活動するように、
体ができている!

俺にはお前さんと
同じくらいの息子がおる。

息子には、俺のような
苦労を掛けさせたくないから

国立の大学にいけるよう
頑張ってるや!

「我が子を思う親の心である」

現場には、様々な夢を持った
働く人の姿があった。

短期集中で働き、夫婦でお店を出す夢
働きながら、ボクサーを目指す夢
お金を貯めて大学を目指す夢

夜勤明けの帰り道、偶然スーツを着た
高校時代の知人とばったり会い
朝の満員電車の中で

RX-7を買ったことや
海外旅行へ行ったこと
成人式での楽しい出来事など

楽しそうに話す会話に
今の自分には無いものばかり
聞かされた自分には、

いいな、よかったな

好きな子と成人式で逢えて。。。

その時の自分には
体力
的にも精神的にも

取り繕った労いの言葉を
しぼりだすのが
精一杯だった。

内心は、言葉では言い現せない
同年代の若者が
その時、体験するであろう

その羨ましさや
虚無感が無かったとは
決して言えない。

これも試練と自分自身に
言い聞かせるが

家に帰ってもその事が
頭から離れず

その日はなかなか
寝つけなかったこと
を思い出す

(春は人生の節目、出会いと別れのシーズン)
こんな自分にも彼女がいた。

春は人生の節目、
出会いと別れのシーズンでもある。

当時付き合ってくれていた彼女とも
お別れの時がきた。

彼女との馴れ初めは、
高校時代のアルバイトだった。

いつも自分の事をわかってくれる
優しい理解者であった。

一つ年上の彼女は、短大を卒業すると
某大手企業の生命保険会社へ
内定が決まった。

そこでは、
東京六大学の先輩エリート達が
花の新入社員を出迎える歓迎会が
恒例行事として行われていた。

自分とは住んでいる世界が
まるで違う人達との出会い
歓迎会の事を、嬉しそうに話す

彼女の横顔に
おめでとうと精一杯の笑顔で
祝福した。

先の見えない自分との生活では
彼女にも申し訳なく

また

誰よりも幸せに
なってもらいたい。
そう思い、別れを決断した。

最後のお別れのデートでの
台詞を考えたこと。

冷たく嫌われる態度で
接すればきっと彼女にも
あと腐れなく

次の人生を進んでいけるのでは
と思ったり
(かっこつけすぎである)

でも当日になると、これまで
自分のような

人間と付き合ってくれて
ありがとう。

今日で終わりにしよう。
ありがとう。
という言葉になってしまった。

なんともしおらしく
女々しく感じたかもしれない。

当時聴いていた心療ソングです。
*角松敏樹 Still Im in iove you
*やしきたかじん 大阪恋物語
*横山輝一 Lovin you
*安部恭弘 ダブルイマジネーション
助けられました。

ただ夜勤での出勤時は
これから
帰路につくサラリーマンや
夜のきらびやかな街並みを見ると、

時折、自分だけが
時間に取り残された
空しさと寂しさを感じる時もあった

また夜勤中は自立神経の乱れから
ふとした瞬間、
これまでの楽しかった出来事など

思い出が頭の中で回想され、
目頭が急に熱く
なったりもしていた。

しばらくは工場での作業で、
ミスも多くなり
元気のない私の様子をみかねて

現場の先輩・同僚が
優しい気遣いをかけてくれた。

日曜日になると
年の離れた妹と、

ペットのウサギとで
一緒に戯れる事が、
心の癒しになっていたが

ふとした表情を、妹が感じとり
兄ちゃん、どうしたん?
笑いいや!と

まるで慰めらるような言葉を
かけられた思い出

数年という時の流れが、
悲しいこと、辛いことなどの

心の痛みを
少しずつ、やわらげてくれた。

工場での作業は、
きつい汚い危ないと
いわゆる3K職場だったが

そこで出会った働く人達は
義理人情あふれる
人間味のある、温かい職場だった。

怪我をしなくてほんとうによかった。

それから何年かの月日が流れ、
私は、製造現場から工場の
シーケンスリレーハード図面の上に置かれたミニチュアリレー

メンテナンスをメインとする
仕事をする事になった。

そこでは、どこの世界でもあろう
自分の手柄の為に、

働く仲間を平然と裏切り
弱いものには必要以上にせめる
マウントをとる人

自分の成績の為に
強いものにはこびるといった

私には、性格上到底真似のできない
独特の気質のある職場だった

これまでのサラリーマン人生で、
嫌な場面にもそれなりに
遭遇し

メンタルもしらない間に、
相当
強くなっていると
感じる自分だったが

帰路の中、目頭が急に熱くなり
涙腺が自然崩壊してしまった
大都会の夕暮れ

社会人となり長い月日の間で
退化してしまった

喜怒哀楽を取り戻した
瞬間であった。

その時出会った
素晴らしい技術士さんに

親身になって
仕事の話を聞いて頂けた事
温かい言葉をかけてもらえた事で、

これまで思考停止した
心の中の
承認要求が、開放されたようだ。

若き日の学習したい思いがよみがえる

勉強・学びとの出会い再び
ゆっくりと独学で人生を歩んでいく
開けた平野に真っ直ぐ伸びる道
ブログへのタイトルに続きます

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拙い文章を最後まで読んで頂き
有難うございました。


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