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皆さん、こんばんは!
このブログでも以前ご紹介しました
東海道・山陽本線の貨物輸送用途として
活躍し今春引退した

直流電気機関車EF200形が、京都鉄道博物館にて
特別展示されました。
www.westjr.co.jp_page
出典元 JR西日本HPより

【EF200形直流電気機関車について紹介】
*国産初 大出力インバーター直流電気機関車の誕生

【背景】

時は1987年、国鉄の分割民営化が行われた当時の話になります。
バブル時代の経済成長拡大とともに、日本三大工業地帯が隣接する
東海道本線に、輸送力増強と旧国鉄時代の旧型車入れ替えを目的として、
新型電気機関車の開発が急務というお達しがJR貨物に下り
開発が急ピッチで進めらていました。

【誕生】

1990年 これまでにない最新技術が投入された
最強の直流電気機関車が茨城県ひたちなか市
にある日立製作所水戸工場で誕生しました。
その電気機関車(EL)の名前は、EF200型 電気機関車です。

当時至上最高出力にあたる6000kw 三相かご形誘導電動機を搭載 
直流電気機関車に多相交流の技術の礎を築いた
ニコラテスラテクノロジーを載せた
(仏馬力)馬力換算で8699psを発生し、
VVVF(PWMパルスワイド幅変調方式)電圧型インバーター装置
を初搭載した電気機関車となりました。

【ニックネーム】

インバーターハイテックロコ、マンモス、クジラetc...

【スペック】

運転整備質量100.8t 
最高速度120km 
主電動機:FMT2形三相かご形誘導電動機(1000kw)×6基
制御方式:力行:PWMインバータ制御
    :電気ブレーキ:同上制御及び1段抵抗方式・発電ブレーキ制御
インバータ装置:GTOサイリスタPWM1C1M式VVVFインバーター制御
       :4500v-2000AGTO1S1P6アーム構成
出力:6000kw
形式:EF200 
用途:貨物用 
架線電圧 直流1500V 
定格引張力26,600kgf
運転整備重量:100.8t
軸配置:Bo-Bo-Bo
台車
軸箱支持方式・筒型ゴム式
枕ばね方式・ゴムばね式
主電動機支持方式・台車装架式
動力伝達方式・一段歯車減速リンク式可撓継手
歯車比・4.69(75/16)
引張力伝達方式・両端台車 中央棒式、中間台車 対角リンク式

登坂能力として10‰(1000mで10mの高さを登る)1600t牽引(90km)
25‰で1100tの引き出しが可能

*パーミルとは・・・鉄道線路での勾配を表すときに用いられます。
水平距離1000m当たりの高低 を指すします。
25‰は1000mで25m高くなるという意味です。

これまでの機関車の最大は1300tコンテナ車26両編成だったものを
EF200は1600t牽引でコンテナ車32両編成とこれまでの
2割の増大を見込んで造られた。

それまでの旧国鉄時代に開発された直流電機機関車の最高出力としては
1968年から製造のEF66型電気機関車で最高出力は3900kw 馬力換算で5302PSです。
この機関車の初期型はもう半世紀の間、いまだ現役として運用されています。

1996年にEF200の置き換えとして開発されたEF210型電気機関車は
最高出力3390Kw 馬力換算で4609PSと相当マイルドに仕上がっています。

省電力大出力機として開発が進めてこられたことで、
ペットネームはECO-POWER 桃太郎です。

【EF200各部説明】

////集電装置////
従来の菱形から国内初のシングルアーム形とし、40%の軽量化と省スペース化を
図るとともにトロリー線への追従性向上も図っているFPS2形

近年、直流電気鉄道に於いて、エアセクションでの停止やパンタグラフが
積雪により自然降下しトロリー線を断線する事故もぽつぽつですが
発生しています。

パンタ点からの離線は、直流き電の場合、通電状態でOFF-ON(不完全接触)
を行なうと3000Aを超える大電流は容赦なく巨大なアーク放電(電流が空気中を伝う)
となり、直径15mmに満たないトロリー線を、一瞬で溶断(スパークで焼けきる状態)
させる事故に繋がる。

アーク放電による入熱で、断線したトロリー線断面は、電流値の違いで、
破断面形状に違いがでます。電流値が大きい破断面の円周は小さく
電流値が小さいと円周は大きい。
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////運転室と機械室////

機械室内は大きく5つの部屋に区分けされている。
運転室後には、1端R側には低圧機器L側には慣性分離フィルターが2端R側には
空気ブレーキ装置L側には慣性慣性分離フィルターが配置されており、その後に
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この電機車最大の新機軸となる直流1500Vから交流440Vへ変換する大容量
パワーエレクトロニクスの象徴GTOサイリスタPWM方式VVVFインバータが
装備されている。

高圧機器、ブレーキ抵抗、インバータが独立されたブロックで構成されて
いるが、その3種の躯体は身を寄せ合う様に配置されている。
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このインバータはPWMによる電圧制御と周波数制御を最適に行なう事で
速度0から最高速度120km/hまでの連続的制御を可能にしている。

また制御機能として、インバータのゲート制御部は16ビットマイコンにより
フルディジタル化され、プログラム制御を行なっていた。
これにより、従来の機関車にない以下の制御を可能にしている。

空転を素早く検知し、再粘着させレールと車輪間の粘着力を
最大限に利用する高粘着制御

EF200で採用した制御では、1C1M個別制御の各インバータで
自軸の回転数と他軸群の車輪径補正後の回転数の最小値を
常時比較処理を行なっている。

そしてこの差が一定倍以上となった場合に、自軸が空転したと判断し
自軸の主電動機トルクを素早く絞り再粘着させる。

また自軸の回転数の動輪周加速度も常時監視し、これが
一定値以上となった場合も空転発生と判断させることで全軸同軸
空転検知を可能としている。

////高圧機器部////

異常時の過大電流を速やかに遮断する新機軸の高速度直流真空遮断器
を採用している。これは真空バルブと転流回路により、アーク高速遮断を

行なうもので、従来の気中遮断器に比べ1/10の時間で遮断できる。
また保全性も向上している。

また機械室には発電ブレーキのブレーキ抵抗器が設置されており、
1300tを牽引するEF級貨物を減速させる際に発生する運動エネルギーを
電気エネルギーに変換してジュール熱を発生させる為、相当量の熱を放出する。

この発電ブレーキは下り勾配の抑速ブレーキ操作時ばかりでなく
停止時の列車空気ブレーキ操作時にも、機関車では発電ブレーキを優先的に
作用させることで、制端子や車輪踏面の磨耗低減を図っている。

因みに、このブレーキ力は、抵抗器の容量で変化させる事ができる。

ブレーキ抵抗器などの冷却に使用する電動送風機には
FM3010A-FFK10A形を電動機・インバータ用として3基
、フィルター排塵用が3基、ブレーキ抵抗用が4基備えられている
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上部天井にはこれらの熱を逃がす排熱口が設けられている。

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しかし、機関車の限られたスペースに寿司詰め状態で配置された数々の電動機
そして高圧機器類にパワー半導体、ブレーキ抵抗など、その熱源からの熱は
輻射や伝導、放射熱という形で、運転席と機関士に襲い掛かる。

エアコンが装備されているとはいえ、僅かなコンプレッサー容量のエアコンでは
運転室内を快適に冷却することは不可能であることは容易に想像でき、
運転席サイドにあった小型の扇風機が機関士の苦労と哀愁を感じさせた。
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////定速度運転機能////

長距離ノンストップ運転が、主体の貨物列車の平均運転速度向上と
運転操作の省力化の為、力行運転中に運転台のボタンを押すとその時点の

速度を保つ定速度自動力行運転制御機能を設けている。
昔車で流行ったクルーズコントロールですね。

////連結運転制御機能////

貨物貨車への連結運転を操作を容易にする為の機能
運転台スイッチを連結運転モードに切り替える事で、速度2-3km/h
の定速度運転が可能になっている。

////下回り補機類////

EF200には、FPS2形シングルアームパンタグラフの昇降動作用の
制御バッテリーを電源とした日立製ベビーコンプレッサーが搭載されている。
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MH99-AK18補助電動圧縮機とブレーキシリンダーや砂まき装置、フランジ塗油器
に使用される電動空気圧縮機C3000形式を2基搭載している。
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*2端L側より
牽引する貨物貨車へおおよそ8Mpaの圧縮エアーをブレーキシリンダーへと
送る高圧ホース
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車輪のせり上がりを防止する目的で、車輪フランジに専用オイルを塗布する
フランジ塗油器
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フランジ塗油
の塗布量及び塗布角度、塗布圧の調整は非常にシビア
空転防止装置との絶妙な調整シンクロが必要

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////砂まき装置////

砂まき装置はEF210桃太郎からセラジェットに変わり、わずかな噴射量、砂まきに
対する補給頻度の優位性等を保つようになりました。
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画像は砂まきノズル
////砂まき装置とセラジェットの目的////

空転防止対策:勾配区間における降雨、降雪、落葉などでの車輪空転防止

滑走防止対策:滑走検知再粘着制御装置を取り付けていない車両の滑走を
防止しブレーキ距離の延伸を防止

ブレーキ距離の確保:降雨時も晴天時と遜色のない非常ブレーキ距離を確保

////FDM1ブラシレス発電機////

床下に搭載された3相440V電源190kVAの容量を備えたFDM1ブラシレス発電機
EF200起動時の独特の音を出しています。
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////台車、モーター////

台車はボルスタレス式で、両端がFD3形、中間がFD4形となっており(901試作車)
牽引力伝達として台車から車体への一本リンク及び対角リンクにより行なわれた。

またこの台車は、ユニットブレーキ装置に駐車用ブレーキシリンダーを内蔵した
構造を簡素化しており、中間台車の引張棒は車体の取付部を延長し、レール面に
水平となる位置で装備されている。

これらの改良により、台車形式はFD3A(中間)、FD4A(両端)に改められていた。
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また将来の160km/h以上の走行にも対応可能なように、主電動機は台車装架式とされ
駆動装置にはリンク式可とう継手を採用している。

これによりばね下荷重が従来のつりかけ式の50%に低減され、高速走行性能向上
軌道に与える衝撃力の軽減を図られている。また軸箱弾性支持などの採用によって
曲線通過性能の向上も図られている。
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直流モーターからテスラ技術による1C1M方式のFMT2かご形三相誘導電動機
6基搭載したEF200の下回りは、従来モーターに比べ大幅な軽量化が図られました。

またリンク可とう式駆動装置のスペースを確保するため、主電動機長手方向寸法は
可能な限りショートストロークにした設計となっている。
その為、ばね下荷重を軽減する台車装架となっている。

その他下回りには、EF81 EF64 1000番台と共通する部品も存在している。

////ブレーキ装置////

ブレーキ装置は電気指令式ブレーキとなり26km/h以上では発電制動が有効となり
20km/h以下では失効して空気ブレーキに切り替わるようなシステムとなっている。
これも新機軸で採用された技術の一つである。

基礎ブレーキ装置は国産初の鉄系焼紡合金制輪子を用いた片押式自動すきま調整
機能付きユニットブレーキシリンダーを採用し保守性を上げている

空気ブレーキ装置として国内の機関車としては、初めて電気指令式セルフラップ空気
ブレーキ装置を採用されている。

電気指令式とすることによって、従来の空気弁操作式に対して
応答性が向上し高速化が可能となっている。

またセルフラップ化により、必要とするブレーキ力が
ワンタッチで得られるようになった。
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その他、保守点検が1箇所でできるよう空気圧制御機器を
集中管座取付方式によりユニット化されている。

編成ブレーキシステムは、ノッチ式ハンドル操作により、各ノッチで設定された
圧力まで、ブレーキ管圧力を減圧する自動空気ブレーキを採用、高速貨物貨車
牽引用に電磁ブレーキ指令装置を装備している。

*試作車FD3形にはバネ式留置ブレーキを装備している。
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一見空気バネの様に見えるまくらバネは、イギリスダンロップのスペシャル品

まくらバネには特殊形状の防振ゴムを採用している。
また車体と台串間の牽引力伝達装置としては両端台車では新開発の

中央一本棒式を曲線通過時に台車偏きのある中間台卓では、対角リンク式を
採用し構造の合理化と軸乗移動の低減が図られています。


////ボデー////

左右の排熱板フィンなどで、見分けはつきますが左右非対称のデザイン
また、台枠構造を簡略化し、その質量軽減分を外板パネルに6t(6mm厚)
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の耐候性鋼板を使用することで耐食性と強度を向上させている。
(従来の機関車では2.3mm厚の鋼板が使われている)

////大出力EF200の出力適正化について////

EF200が誕生し、実際のフィールドへ投入されるが、既設変電所の間隔にばらつき
、容量などの問題で、架線電圧の低下や容量オーバーが考えられ、出力制限が
行なわれていました。

出力制限にはAとBの2つの方式が存在し、
A方式では、運転士のノッチ制御が電流制限以上に於いては、その制限範囲内の値で
またそれ以内では運転士のノッチ制御で運転する方式。

B方式では、架線電圧を検出し、電圧が下がれば、比例的にモーター電流を
絞る制御方式。

実験では、数多くの列車、運転、線路、電気設備など、膨大なシステムを
EF200の運転により当該列車だけでなく他の列車の電圧降下による列車の

遅延も考慮され、また電気設備の制限条件によるノッチ制限、電流値制限を
行なった場合、運転士が行なっている信号機や地形とダイヤをつき合せ

当該列車の進捗を細かくチェックし現在の列車運転に於いての遅延状況を
的確に把握する必要があったそうです。

この出力制御方式の検討の為、東海道熱海ー西浜松間を対象に、平成4年度
A方式は制御電圧1350V、B方式は1250Vで実験が行なわれています。

*EF200の詳しい記事はこちらへどうぞ→http://engineerskill.xyz/archives/3690274.html

今回の特別展示ではEF200形だけでなく
今秋引退するシキ800特大貨物貨車も同時に
展示されております。
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通常の普通貨車と違い、圧倒される
まるでムカデの足の様な数の車輪が見ものです。

このムカデのような8台車16軸構造の足回りは
160tクラスの変圧器を輸送する上で
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車輪数を増やす事で、荷重を分散させ
線路への軌道破壊を緩和するといった
目的で設計されています。

*下記動画のシキ850貨車はシキ800より1サイズ小ぶりの115t対応の貨車です。

*下記動画のシキ180は80t平床式の貨車でシキ800に比べ半分と小型ですが
平床に直接重量物を載せるので、荷崩れのリスクが伴う


①ユーチューブ画像出展元:whitewing681 [Travel Aviation Railway]
②ユーチューブ画像出展元:関西電力株式会社

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展示される期間は11/16~11/24の期間までになっており
11月16日(土曜日)11月17日(日曜日)
11月23日(土曜日)11月24日(日曜日) 
の四日間は、関連イベントとして
「JR貨物子供制服での記念撮影」
「EF200直流電気機関車の運転台&機関室公開」
「EF200直流電気機関車&シキ800形式貨車のJR貨物社員による解説ツアー」
などの催しを開催
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関連イベントのない日でも、期間中は車両展示エリアにて
*EF200&シキ800の詳細説明パネルの展示が行なわれます。
(24日は17時30分まで)
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*EF200&シキ800の動画放送も行なわれます。
(24日12時まで)

*お別れメッセージの記入は16日(土)~24日(日)17時まで
車両展示エリアで記入する事ができます。
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*EF200の詳しい記事はこちらへどうぞ→http://engineerskill.xyz/archives/3690274.html
変電所キラーの異名をもつ最強電気機関車と
重量160tの大型変圧器を運搬する貨車
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貨車の方は老朽化の事情で引退
機関車の方は、大電流消費と著しい電圧降下の為
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その当時の変電所の能力が、この機関車に
対応しきれなかったことや、製造会社の製造撤退により
保守パーツが賄えないこと。
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時代の移り変わりにより貨物輸送の需要も当時の計画より
大きく減少への推移をたどったことなど。
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全開走行を禁止、運転の仕方、出力を抑えながらの運用(3400kw)で
全21台製造された機関車も、故障がでれば廃車、部品取りとして
少しずつ仲間が減りながら、今年の春まで細々と運用されていましたが
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平成の始まりと同時に彗星の如く現れ、
多くの鉄
道ファンを魅了し
平成が終る頃、これらの事情により幕を閉じる。
EF200吹田

「*19年11月10日吹田機関区にて撮影 解体までの余生をここで過ごす」

機関車と特大貨車共に物流という形で、日本の経済成長を支えた
力の象徴かと思います。
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当時の技術の粋を集めた傑作を、目の前で確認できるのは
11月24日(日曜日)までになります。
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EF200の詳しい記事はこちらへどうぞ→http://engineerskill.xyz/archives/3690274.html


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